「マダム・イン・ニューヨーク」を鑑賞(2020年8月2日)
とある、最近尊敬している人のブログを読んだところ「マダム・イン・ニューヨーク」というインド映画が紹介されており、今の自分には刺さりそうな気がしたため鑑賞してみた。ストーリーはシンプルだがとても自分に響いたし感動する映画だった。鑑賞してとても良かったと思ったため、ここに雑感を記録しておく。
あらすじ
マダム・イン・ニューヨークはインドで暮らす主婦のサシャが姪の結婚式のためにニューヨーク行き、そこでの顛末を描いた映画である。
よく背景を知らないが、インドでは公用語はヒンドゥー語であるものの教育の現場(娘の中学校)では英語が普段から使われるのが普通であるようだ。夫も仕事では英語を使っており、英語が分からないサシャは家族から尊重されていない。特に娘からは馬鹿にされることもあり、サシャは不満を募らせていた。サシャは落ち着いた女性らしい女性だが、夫は家父長的な思想を持っているようで、家で料理をしていれば良いと思われているようだった。直接的にそうは言わないものの、ふしぶしにそのような言動がにじみ出る。サシャは、英語ができないことだけでなく、夫や娘といった家族からも尊重されず見下されていると感じており、それが不満になっていた。
ある時、ニューヨークに移住して長年暮らす姉の娘(サシャの姪)が現地で結婚式を挙げることになり、そこに招待される。家族はみな呼ばれるも、学校や仕事があるため直前になって行くことにし、サシャだけが先にニューヨークに行くことになる。サシャは英語ができないし海外に行ったこともないようで、不安を持ちつつ、周りの人の助けを借りつつニューヨークにたどり着く。ニューヨークでは姉や姪(結婚する姪は姉、頻繁に登場するのは主に妹)が案内してくれるが、ある時たまたま1人になったときに、カフェでの注文がうまくいかず強いショックを受ける。そこではフランス人男性が助けてくれたが、その時たまたま見かけた英語学校の広告に電話をして4週間英語のクラスを受けることを決意する。
学校では、さまざまな英語ができない外国人とゲイの先生がおり、明るく楽しく英語を学ぶ。そこには助けてくれたフランス人男性の姿もあった。学校に通っていることは秘密にしつつも、毎日隙を見て通い、徐々に生徒も打ち解けて交流を楽しむようになる。サシャの英語も徐々に上達していく。また、フランス人男性からは気に入られてアプローチを受けるも、サシャには家族がいるため断り続ける。ここでは、互いに言いにくいことは相手が理解できない自分の国の言葉で言い合う描写があり、印象的だった。
順調に学びを進めていた所、サシャの家族がサプライズで早めにニューヨークに来て、一緒に過ごさなければならなくなる。サシャは学校にこっそり行くが、その間子ども(小学生の男の子)が軽いけがをし、その間子どもから離れていたサシャは責められたように感じ、また家族を置いて自分のやりたい英語を学んでいたことに責任感を感じ、学校をやめることにする。サシャが通っていることを唯一知っていた姪は学校に代わりに行って、辞めることを伝える。サシャは、姪の結婚式の準備に専念するようになる。
しかし、英語学校の仲間たちは工夫して、サシャが授業を受けられるように電話をかけたりして、何とかつながりを持とうとする。仲間たちは事情に深入りはしないものの、あと少しで学校も終わるのだからと助けてくれる。こうしてサシャは学ぶ気力を取り戻し、結婚式と同日になってしまった英語学校の卒業試験のスピーチの準備も進める。
いざ当日になり、サシャは結婚式の前に試験を受けに行こうと考えていたものの、子どもに驚かされてお菓子の山を落としてしまい、作り直さなければならなくなる。サシャは試験を諦め、お菓子を作り直すことにした。学び続けてきたのに最後に試験に行けず、また家族からはまだ英語ができないと思われていることもあり、尊重されない。サシャの顔には悔しい表情が写る。
しかし、結婚式が始まると、そこには学校の仲間や先生たちも来てくれた。姪のはからいで来てくれたようだった。試験は受けられなかったものの、再開できてうれしく思うサシャ。夫にも彼らを親友と紹介し、夫は訝しむもすぐに結婚式がはじまる。親族が1人1人スピーチをし、姪は英語を学んできたサシャにもスピーチを求める。姪は、サシャが学んできた英語をアピールする機会を作ろうとしてくれたのだった。夫は、妻は英語ができないからと断ろうとするも、サシャはそれを止めて立ち上がり、スピーチを始める。サシャのスピーチは流ちょうではないものの、その内容は家族のこと、夫婦関係のことで、サシャが問題を抱えつつもそこに愛や前向きさを見出していることに周囲は感動し、学校の仲間たちからも盛大に拍手を受ける。夫や娘もサシャの想いを知って、深く受け止める。結婚式後、サシャと家族はインドへ帰る。
感想
この映画で描かれているのは、不得意な英語を克服する過程で自分らしさを取り戻し、夫と対等になれていなかったサシャが自立的になっていく過程だった。しかしそれだけでなく、異なる文化を持つ者どうしが理解しあうことの大切さや、家族や夫婦関係における対等な関係、尊重しあうことも大事さなども、重要なテーマだったと思う。とても面白く、明るい気持ちになれる映画だった。
登場人物らが、互いに理解しあおう、前向きに関わろうとする姿勢がとても印象的だった。