フォレストガンプを鑑賞(2020年8月16日)
久々に「フォレストガンプ 一期一会ー」を鑑賞した。子供時代から何度も観たことのある映画だが、Netflixでたまたま見つけたため見始めた。何度観てもいい映画だった。この映画を考察することは自分にはできないが、感じたことを書く。特に感じたのは、これは一種のアメリカ現代史の物語だということ。
あらすじ
フォレストガンプは、1945年生まれで背骨に変形があり、若干の知的障害がある(知能指数が75)という子どもだった。障害のために周囲からはいじめられるものの、母親からは愛情を受けて育ち、また小学校時代に出会ったジェニーと親友になり、助けられて生きていく。ジェニーとは高校まで一緒になる。愛情を受けて育つガンプと対象的に、ジェニーは父親しかいないようで、しかも父親はアル中、家は貧乏だった。この育ちが、その後のジェニーの人生にも悪影響を及ぼし続ける事になる。
一方、ガンプはちょっとしたきっかけから人並み外れた脚力があることがわかり、また愚直に1つのことを続けるその性格から、俊足を買われて大学進学しフットボール選手として活躍する。さらに、卒業式で陸軍にスカウトされて軍隊に入る。ジェニーは歌手を目指すも荒んだ生活を送る。
ガンプは言われた通りに行動することはできるため、愚直な性格から軍隊でも成績優秀。そこでは、エビ漁の事業を代々やってきた「ババ」と出会い親友になり、共にベトナムへ送られる。ベトナムではその後エビ漁を共にすることになる小隊長とも出会う。ベトナムでは小隊が丸ごと襲撃されて壊滅するも、ガンプは持ち前の脚力で小隊長らを救出する。小隊長は両足を失い、その場で死にたかったとガンプを恨む。
ガンプはベトナムの病院で卓球に出会ってはまり、その後は軍隊の代表として卓球選手として活躍。これらの功績で表彰される。その表彰式後には反戦集会に巻き込まれる。集会ではヒッピーのような人も多かったが、歌手崩れからヒッピーグループに入り浸るようになっていたジェニーと再会することができた。しかし、ジェニーは学生運動のリーダーと同棲しており、ガンプとはすぐに別れることになる。ガンプはジェニーに愛していると言うが、ジェニーはそれを受け入れない。ガンプはこれらの功績によって、大統領にも何度も表彰されることになる。
ガンプはその後軍隊を出ることになるも、軍隊から得たお金をエビ漁のために投資して、亡くなったババとの約束を果たすために漁を続ける。途中で小隊長も合流して一緒に船を出し、しばらくは失敗続きだったが嵐をきっかけに好転し、有名なエビ漁会社として成功する。ガンプはエビ漁を小隊長に任せて自宅に戻る。小隊長はガンプの資金をアップルに投資し、一生困らない資金をガンプに作ってくれた(ガンプは「フルーツ会社」と表現)。この間、ジェニーは麻薬にも手を出して精神不安定な生活をする。
ガンプは自宅でのんびりと草刈りをしながら生活するも、母を失い一人になる。一人で生活しながらジェニーのことをひたすら想う。するとある時、突然ジェニーが訪ねてきて再会を果たす。しばらくは、子供の頃のようにジェニーと二人で生活し、男女の関係にまでなるも、その次の日にジェニーは早朝に家を出て行く。ガンプは再び1人になる。ガンプは1人で生活しているうちに、突然走りたくなって走りだし、アメリカ大陸を何度も横断する。その過程で有名人になり、様々な人から信奉されるも、3年以上走り続けた後で突然辞める。まともな生活に戻っていたジェニーは、ガンプを新聞で見て思い出す。
ガンプが自宅に戻ってから、自宅にはジェニーからの手紙が届く。ここまで映画はガンプがバスを待ちながら隣に座る人に話しかける流れであったが、ここで場面が転換。ガンプは手紙を手にジェニーに会いにきていたのだった。隣に座っていたおばあさんから、その住所はバスじゃなくても行ける、すぐそこだと聞いてガンプは走ってジェニーに会いにいく。ジェニーは健康的になっており、しかも子どもがいた。再会を喜ぶも、ガンプは子どもがいることに戸惑う。ジェニーは、その子がガンプとの子であることを明かす。ガンプはそれを受け入れ、今度は初めてジェニーから結婚したいとプロポーズされ、ガンプはそれを受け入れる。
しかし、ジェニーは病気を持っていた。病名は明かされないが、それは医者でも治せないものだという。田舎のガンプの自宅に戻った2人(3人)は結婚式を執り行い、そこには小隊長も現れる。結婚後、ジェニーはすぐに亡くなってしまい、ガンプは息子(フォレストガンプ)と2人の生活になる。ジェニーの墓は、子ども時代から一緒に過ごした大きな木の根本に作られた。ガンプは息子を大事に育て、子のガンプは賢く育つ。子のガンプも小学校に入学することになり、最後はスクールバスを待つ場面になる。息子のバッグの中には、ガンプが子ども時代にも持っていたお猿のジョージの絵本がある。ガンプはこれは自分の好きな本だと言っているうちに、ガンプの子ども時代と同じスクールバスが来る。運転しているのは、同じ女性だった。バスに乗り込む息子を見送るところで、エンディング。
感想
子ども時代以来に観て、やはりとてもいい映画だと思った。新しい気付きとしては、この物語は1945年生まれのガンプの1982年ごろまでの物語で、ベトナム戦争や公民権運動、ヒッピー、学生運動、度重なる大統領の暗殺(未遂)事件、ウォーターゲート事件、アップルの成長などアメリカ史とともに流れる物語だったということ。これは、多くのアメリカ人が共感するように作られたからなのか、そこにメッセージがあるのかわからない。
また、物語の第二の主人公ともいえるジェニーの物語と対称的に描かれているということ。健康で美人だが家庭環境が悪いジェニーと、障害を持つが家や親に恵まれているガンプ。ガンプは次々に成功するも、ジェニーは荒んだ生活を送り、おそらくそんな生活の中で持ってしまった病気によって若くして亡くなる。このように対照的な描き方をしたのは、単にガンプのように愚直に生きることが美徳である、ということを伝えたいというわけではないと思うのだが。
また、子供の頃に見たときは、実話か?と思う程だったが、今回観て思ったのは非常にファンタジーとして描かれているということ。ガンプの人生は、アメリカ史の中の大きな出来事に関わっており、例えばウォーターゲート事件を発覚させるきっかけのように描かれていたり、冷戦中に中国を訪問して米中関係上重要な役割を果たしていたり、ジョンレノンに会っていたり、スマイルマークのアイディアのきっかけになっていたり。本人の気づかないところで、歴史を動かすかのような行動をとっている。もちろん映画ならではの設定だが、単なるヒューマンドラマを描くには過剰なほどのファンタジーで、観ている者にとっては爽快だが、ここにも何か伝えたかったことがあるのではないか、と感じた。一度見返したくらいでは自分には分からないが、また観たら新しい気づきがあるかもしれない。