【雑感】現代における伝統文化・古武道を実践する意義
武道をはじめて15年目、古武道をはじめて10年目くらいになる。長く学ぶ中でさまざまなものを見聞きし、考えた。特に自然に考えざるを得なかったのは、現代社会において武道(武術)をやることにどんな意義があるのかということだ。とある本によると、武道の現代における意義は直接的なものとしての護身、間接的なものとしての主体性の確立というものがあった。これは、ある意味で、武道を「鍛練の媒体」として考えるものであると思う。
こうした思想は大事であり、武道を学ぶ上で忘れてはならないと思う一方、それだけを目的に自分が学び続けられるか?と考えるとそうではない、そうではなかった気がする。
自分にとって武道は、変化が激しく、変わり続けていくことを強いられる社会において、変わらない思想、文化、習慣であった。激しい流れの中で流されないようにするための錨であり、地に足付ける根っこであった。
長いスパンで人生設計しにくく、分野自体が変わっていくために専門性も磨きにくい時代であり、それを不安視する自分がいた。また、進学、就職、独立と数年おきに激変する環境にストレスを感じる自分がいた。そんな不安がある中で、自分を見失わずに、右往左往しながらも進んでこられたのは、自分の中に変わらない部分として武道に取り組む自分がいたからで、ずっと変わらない学び続ける対象としての武道があったからだった。
これはおそらく、自分に限定した特殊な考え方ではないように思う。現代社会において伝統や文化を学ぶ一の一つは、変化に流されない「変わらないもの」を自分の中に作っていくことではないかと思う。
ネット上には様々な意見があるし、武道修行についてもビジネスとして人を集める組織、武道を利用して目立ちブランディングする人、競技として行う人、歴史や技を自己流に解釈して議論する人などさまざまな人がいる。しかし、自分にとってそれらは雑音でしかなく、そういう情報が入ってくることを疎ましくすら思う。こうした雑音に流されないためにも、まずは自分と徹底的に向き合って鍛練し、自分の中に変わらない「錨」「根っこ」としての武道に真剣な自分を作ることが大事だろう。